3月にあるところから記念品の製作を依頼されました。
その時、私には転勤や退職、引っ越しの記念品の注文依頼がそれなりにきていました。
そのタイミングでの依頼でしたので、その流れで製作すれば良いと思ったこともあり、「私のような者のでも良ければ引き受けます」と返事をしました。
目の肥えた方達への記念品だと判っていましたが、これも運命だと、「見たことのない物を作ろう」思い、どのような事態になるか考えもせずに引き受けました。
それから、日々別な注文品のデザインレイアウトと製作に追われる日々が続いていました。
でも、頭の片隅には、常にあの記念品依頼のデザインをどのような物にするか考えていました。
4月上旬には頭の中の構想はだいたい出来上がっていましたが
でも、これだ!と言う決め手が無くデザインに迷っていました。
そんなこんな考えているうちに、期限がもう迫っていました。
とにかく、赤と青のサンドブラスト用のロックグラス材料を取り寄せていました。
期限が迫ってくるほど重圧がかかってきました。
適当な物は作れない、でも自分らしさを失うわけにもいかない。
酷評されたらどうしよう。
「良い物を見慣れた方達の記念品どうしたらよいだろう」と追い込まれていました。
3日前ようやく、酷評されようが精一杯やるしかないと心に決めて、実際に型づくりを始めました。
そこで決めたデザインは、その方の写真のシルエットで模様の基本パターンとして上下交互に組み合わせてグラスに一週させた帯状模様を2本入れその間に幾何学模様を施すもので、1人1人違うので3つのデザインしていかなければならないものでした。
1.写真からシルエットの型を取り、その型のラインを綺麗に直す。
2.その型を模様とする大きさにして上下に配置し帯状に連続させる
3.プリンターで印刷しその模様をグラスにあててみる。
4.グラスに少し傾きがあり直線ラインではずれが生じる
5.グラスの上と下の円を紙に写し出しグラス表面の展開形状を書く
6.その展開図にしたがって微妙な曲線ラインに型シルエットを連続させる。
7.プリントしてグラスに合わせてみるが、合わせ目が合わない。
8.何度も微調整してやっと合う
9.実際にカッティングプロッターで型の切り出しを行い合わせてみる
10.何とか合いそうだなと型シートを張り付ける。
11.上手くいかない、何度も繰り返す上手くいかない
時計の針は〆切当日の午前3時を指していた。
これが上手くいったとして、後2個これと同じ作業を繰り返して作らなければならない。
型シート作り始めてから一個の作業にもう6時間も費やしていた。
物理的にこのまま続けても間に合わないのは目に見えていた。
あせる!あせる!
どうしよう..........!
どうしようもなく時間だけが過ぎていく
もう切り替えるしかない。
新しいデザインにするしかない
完全に追いつめられている。
追いつめられた頭の中は、すごい早さでイメージを出しては消して、出しては消しての繰り返しアドレナリンが一気に放出しているような感覚に
ふと、頭に今の時期の桜のイメージが浮かんだ。
ここから、もう斬新な奇妙なデザインを考えても中途半端になる
シンプルな何気ないデザインにしようと
桜の写真を撮っていたのでそれを参考にシンプルに
桜の花を配置してみた
よし、これでいってみよう!
その時の集中力で作業が早く進んでいく
最後にあのシルエットを何とかしたいとグラスの底に入れた
やっと終わった。
時計の針は午前11時を過ぎていた。
それから綺麗に洗浄して箱に入れてラッピングして
午後1時には電車に乗って仙台に向かわなければならない。
一睡もせずに頭はハイのまま仙台の会場にいた
何もなかったように記念品は渡された。
今、あのグラスはどのように評価されているかは判らない、
酷評されているかも知れない
仮に、そうだとしても
この時、生み出した、この桜グラスは自分にとっては忘れられないものになった。
曲線のグラスに連続模様を上手く合わせるには、どうするか経験も課題も頂いた。
この注文をしてくれた方に素直に言いたいです。
「 あ り が と う ご ざ い ま し た 」
シンプルな桜ロックグラス
でも、シンプルでありながら、とっても良い作品だと思いますよ。
白も、赤も生きているように思いました。
受け取った方も、きっと喜んでいると思いますよ…。
評価を書込んで頂きありがとうございます。
まだまだ、努力が必要な私ですが頑張ります。
とことん追いつめられると、何かが生まれる。
用意周到、準備万端が基本でしょうが、
そうでない、ギリギリの選択の中で
ふと頭に浮かぶひらめきも
大切にしたいですね!
失敗したと思ったコトにも
助けられたことがあります。
だから、世の中面白い!
手を掛ければ良い物が出来る?
じっくり時間を掛けたから最高の物になる?
そうじゃない世界もありますね!
ただ、日々の努力は必要です。
それでいつも私はギリギリいっぱいになっていることが多いです。
でも、人が嫌がることは、自分ができることであれば、やってしまうので

たまには準備万端で望みたいものです。
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工房:ゴトウデザイン
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